BLOG

自民党エネルギー政策議連立ち上げ、共同代表に就任。
1.6月14日(火)夕方、一昨年秋に総裁選を争った河野太郎代議士と一緒に「エネルギー政策議員連盟」を立ち上げた。河野氏とは、エネルギー政策ではかなり差があると思ってきたが、3月11日の大震災・津波と原発事故の発生以来、話をする中で、現実的に取り得る政策は限られており、意外に差がないことがお互いに分かってきた。そこで、自民党の進めてきた原子力政策の反省の上に立ち、エネルギーの新しいベスト・ミックスを考えるこの議連を立ち上げたのである(写真)。

2.具体的には、次のような現実がある。
第一に、原発の新規立地が極めて難しいことである。このことを現実として受け止めなければならない。
第二に、現実の電力供給の安定を考えると、既存の原発について、徹底的に安全確認を行った上で、継続をしていかなければならないことである。特に、原発は、13ヶ月に一度定期点検に入り、運転停止となるが、点検終了後は、速やかに再起動しなければ、日本経済の影響は図りしれない。
第三に、自然エネルギーの導入拡大を加速することである。私は、経産省勤務時代から、自然エネルギー導入に積極的に関わってきており、1992年頃、石油代替エネルギーの導入促進法改正の条文をつくり、促進のための施策の拡充を行った。そして、私の地元淡路島が、太陽光と風力、そして潮力やバイオマス資源等に恵まれていることもあり、新エネルギー導入は、その後、衆議院選挙の立候補に際しての、私の公約の中心の一つとなっているのである。

その意味で、新エネルギー導入促進は私のライフワークの一つであり、太陽光や風力はもちろん、洋上発電や地熱、バイオマスも導入促進に向けて積極的に支援すべきと考えている。

3.こうした考えから、固定価格全量買取制度については、基本的に推進すべきものと考えている。しかしながら、菅総理が余りに唐突に、「エネルギー政策を白紙に戻す」とか、「1000万戸に太陽パネル設置」など、思いつきで様々なことに言及するため、かえって議論を混乱させている。私から民主党には、一体、エネルギー政策をどうしようと考えているのか、全体像を示してほしい。導入コストの負担、特に、一般世帯の電気代の負担増がどのくらいになるのか、産業界への負担増はどのくらいになるのかをしっかり示してもらいたい、そのデータを基に審議したい旨申し上げているところである。しかし、民主党内は、政局で混乱し、総理のかけ声だけで、一向に、政策の方向性、そのデータや試算など示されないのが現状なのである。実は、今回の震災を機に、韓国は被災地・東北地方の技術力のある中小企業に対し、韓国への工場誘致を強めている。「韓国では5年間法人税ゼロ、電気料金も日本の3分の1。さらに、日本は益々電気料金が高くなるんでしょう」と言って、誘致を口説いているのである。さらに、今後の復興の財源として増税もささやかれている。家庭や企業の負担の全体像がどうなるのかも大事な論点である。一定の修正あり得べし、ではあるが、審議に入るためには、口先だけでなく政府・民主党の真摯な対応が望まれる。

4.第四に、原発の点検停止分を補うため、また、新エネルギー導入が進むまでの間、やはり、LNG(液化天然ガス)の活用が重要である。従来型の天然ガスに加えて、米国やカナダにおいては「シェールガス」と呼ばれる、岩や砂に含まれているガスが、現実にガスとして取り出せるようになり、天然ガスの供給は増大しているのである。天然ガスは、石油と違って、中東地域に偏在していないことも魅力なのである。権益確保をしっかりと支援することが必要である。

5.以上のような現実をしっかり認識し、現実的なエネルギー政策の新しい姿を示すことが大事なのである。その際、整理すれば、次の3つの視点が重要である。①安定供給の視点。即ち、特定の地域に依存せず、多様な地域からの安定的な調達が可能であること。また、エネルギー源自体の安定性が必要であり、天候に左右されないようにするためにも「蓄電池」の開発・普及が急務である。②コストの視点。太陽光など、今後普及が拡大すれば、急速にコストが下がることも期待したいが、一般世帯の負担への配慮、そして、産業競争力維持の観点からの「コスト」も大事な視点である。③CO₂排出削減の視点。石炭も豊富な資源であるが、CO₂の排出量は多い。石炭ガス化(IGCC:2009年2月2日ブログ参照)などの技術開発も急務である。

6.このように考えてみると、今後のエネルギー政策においては、現実的にはそれほど大きな幅があるわけではない。今後、地に足をつけた現実的な視点から、日本のエネルギー政策をしっかりと考えていきたい。