とっておきの1枚

2010年2月9日
好きな作家の一人、貫井徳郎氏の最新作。警察小説である。様々な立場の警察官の苦悩を繊細に描いているが、この悩みは必ずしも警察のみならず、一般の会社組織の人間にもあてはまる。陰鬱な向上心が行動を歪めるのも共通だ。ストーリーは、“指蒐集家”と呼ばれる殺人鬼を追いかける内容で、グイグイ引き込まれる。後半のやや突っ拍子な展開には面喰うが、意外な結末は十分に推理を楽しめる。寒い夜にさらに背筋が寒くなる作品だ。