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オリンパス事件の検証開始

1.財務金融部会長として、オリンパスの事件についてヒアリングを行った。報道によると、1000億円とも2000億円とも言われる損金を隠すために、操作を行ったとのことである。内視鏡、デジタルカメラはじめ日本を代表する”優良ハイテク企業”とされてきただけに、ショックが大きい。大王製紙の前社長への巨額の貸付けとあいまって、グローバルな上場企業のガバナンスの在り方が問われている。

2.オリンパスは、2000年に会計制度が時価会計に移行するのに伴い、損失が表明化することをおそれ、買収とそのための巨額なコンサルティング手数料(会計上は「のれん」)の形でごまかそうとしたようである。

3.まず、社外取締役・社外監査役は、その役割を果たしたのか。医師、マスコミOB、証券会社OBの三人の社外取締役、別の企業の2人の監査役がいるが、どこまでチェック機能を果たしたのか?東京証券取引所の「社外取締役・社外監査役」の「独立」の基準でも5人のうち1人しか「独立」と言えないという。さらに、より厳しいNY証券取引所の基準ではどうなのか。会社と利害関係のある方々なら、いくら「社外」と言っても「独立」した存在としてチェック機能を果たせない。形だけの存在となる。「社外」の定義のより厳格化など、制度面での手直しが必要である。

4.また、監査法人は一体何をしていたのか、の疑問も大きい。オリンパスは、20年にわたって隠し続け、それを見破れなかったのである。さらに、会社法上、経営陣である取締役会が監査法人を決める、との仕組みも検証が必要である。現に、オリンパスのケースでも、2009年まではあずさ監査法人が、2000年以降は新日本監査法人が監査を担当し、途中で変更しているのである。このあたりの事情についても、何があったのか確認が必要である。

5.いずれにしても、日本独自の国内ルールから、時価会計はじめ国際ルールに変更していく中で起こった事件である。しかも、優良企業とされるオリンパスで起こったのである。他社は大丈夫か、との懸念も出てくる。日本市場への信頼が揺らいでいるのである。折りしも会社法の見直しの議論が行われている。上述のような点も含めて、世界から信頼される制度を構築しなければならない。