とっておきの1枚

2007年10月20日
ニッシーの秋の夜長のおすすめ読書(その③)

「カラ売り屋」(黒木亮著:講談社)

経済は複雑である。東京は地価が上昇し、景気がいいのに、地方は倒産も多く経済は疲弊している。そんな経済問題を扱った4つの短編の作品から成るこの本著では、4人の仕事師(経済人)が登場する。①地方財政を食い物にする「村おこし屋」(時々みかける“コンサル屋”か?)、②“売り”専門のファンドを運用する「カラ売り屋」(企業の偽装などを見抜き、株を売って儲ける)、③中東など新興市場のマーケットを手がける「エマージング屋」(“国際協調融資”を仕切る)、④旅館の再生を手がける「再生屋」(最近人気の“再生弁護士”)である。いずれの話も、最近の経済・金融の動きがよくわかる。国内外でこんなことが起こっているのかと関心もある。新聞でよく見かける記事や事件を思い出しながら一気に読んだ。時代がわかるお薦めの一冊である。