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アフリカ出張(その③)(各国編:モロッコ(Ⅱ)8月16日~18日)
1.モロッコは、日本同様資源がない。その分、ヨーロッパ・アフリカの間に立ち、その交流・通商によって発展しようとしている。その象徴が、スペインに最も近い北部のタンジェ市である。同市はリゾート地としても有名だが、自由貿易港(フリーゾーン)を設け、ルノー・日産グループが工場建設を計画するなど、交流拠点としての可能性を広げている。このタンジェで2012年の万博開催地に立候補していることも象徴的(シンボリックな)出来事である。

2.日本の天皇家とモロッコ王室との関係は深く、両国の外交関係は良好である。2012年の万博には、韓国の麗水(ヨス)市も立候補を表明していることから、日本の態度は微妙である(ちなみに、その前の回の万博は2008年のスペイン・サラゴサ市で開催が決まっており、スペインのすぐ目と鼻の先のタンジェ市での開催が国際社会にどう映るか?)。

3.一方、モロッコはマグレブ3ヶ国(地中海に面した北アフリカの3ヶ国モロッコ、アルジェリア、チュニジアを総称してこう呼んでいる)のリーダーとしての自負もあり、サハラ砂漠以南のアフリカ途上国への経済協力にも極めて熱心である。日本とモロッコで協力して他のアフリカ諸国への援助を行う、いわゆる「南南協力」(又は「三角協力」)も可能性がある中で、日本にとって大切な国の一つである。

4.モロッコでは、各省の幹部と意見交換を行った。鉱物・エネルギー省次官とは、電力開発について、また、外務省のアジア局長とは、来年5月に日本が開催する「TICAD-Ⅳ」(第4回アフリカ開発会議)での協力について、そして、漁業省次官とは、漁業資源の管理や水産業の振興について、それぞれ率直に議論した。

5.モロッコでは、基本的に魚を食べない。タコもたくさん獲れるが、ほとんどが日本に輸出される。地中海と大西洋の海に恵まれているのに魚を食べない、とは何とも不思議な気がする。
ところで、カサブランカの海に立ち寄ったが、お世辞にもきれいとは言えない。近くに工業地帯があることもその背景だろう。まだ神戸の須磨海岸の方がましかもしれない。それでも、元来「砂漠の民」のゆえに水資源が貴重なのか、カサブランカ市民は日が暮れかかる頃まで水につかり、水辺で遊んでいた。しかも基本的に服を着てである。特に、女性は、他のアラブの国々と同じように、一切肌は見せない。いくら「ソフト・イスラム」と言っても、やはり厳しいところは厳しい。他方、お酒が飲めるのは、アラブの国々の中にあっては、やはり穏健派の証しである。 私自身は、それほどお酒を嗜好するわけではないが、「お酒が飲める」と聞くと、自由が認められているようで、何となく安心する。あの映画「カサブランカ」の舞台となった「Rick’s Café」にも寄ってみた。さすがにお洒落なカフェ(バー)で、素敵な男女がグラスを傾けたり、食事をしたり…。私たちは男3人、「カサブランカ」をビデオで流している二階で一杯引っかけ、夕食会場へと向かった。

6、この「リックス・カフェ」は素敵だし、メディナ(旧市街の市場)は活気にあふれ、カサブランカの魅力の一端を味わったが、一方で海は汚れ、また、空気が排気ガス(スモッグ)にかすんでいるカサブランカには、少しだけ幻滅した。名前のとおりの白い美しい街との期待を膨らませすぎたのかもしれない。それも、西洋文明を取り入れてきた結果なのであり、その意味でも我々とイスラム社会、アフリカ社会をつなぐモロッコは大事な国の一つであることを忘れてはいけない。


  • モハメット5世の写真。少しだけ、梶山弘志代議士に似ています。
  • アイト・ハッドゥ・エネルギー鉱山省次官と意見交換。
  • アルジュ・外務協力省アジア太平洋州局長と。
  • ラバトの王宮の前にある、ローマ遺跡マンスール・モスク。
  • タルミディ 農業・農村開発・海洋漁業省次官と。「タコ」の話で盛り上がりました。
  • 王宮と大砲。
  • 広瀬大使公邸で、ルノーの代理店を経営するラルビ・ベラルビィ社長と、モロッコの有名な女性キャスターのサキナ・ブーアッシュリンさんと昼食会。
  • カサブランカ郊外のYKKのファスナー工場を見学しました。
  • 映画「カサブランカ」の舞台となった「リックス・カフェ」。
  • カサブランカのビーチ。夕暮れになっても、服のまま水につかります。
  • カサブランカのメディナ(旧市街)で見つけたパン屋さん。フランスの影響なのか、パンはすごく美味しいです。
  • 日系企業の方々と夕食会。さすがに近いだけあってスペイン料理はなかなかの美味です。いろんなご意見を伺いました。