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郵政民営化を巡る議論について
1. 4月19日(火)16時から始まった党内の議論は、休憩をはさみながら、深夜3時まで続いた。そして翌日20日(水)も午後3時半から再開し、9時すぎまでかかって一旦終結した。すなわち、「内容」の一任までとりつけたかどうかは不透明なまま、執行部に対し政府との「折衝は一任」という形で、党と政府の折衝が再開されることとなった。

2. 何を議論しているか大変わかりにくいと思う。わかりやすく言えば、郵政民営化については、小泉総理のライフワークであり、その強烈なリーダーシップ(情熱)のもと、内閣(政府)は民営化を実行すべく法案を用意している(郵便会社、貯金会社、保険会社、窓口ネットワーク会社(局会社)の4分社化して民営化)。これに対し、党側は、民営化に対し反対派が多く(私のみるところ、2:8から3:7で反対派が多い)、「法律は立法府が判断すべきもので、与党の承認なく政府が勝手に作業を進めるのはおかしい」との立場で、政府案を巡って長時間の議論が続いているのである。

3. しかし、その議論の中身は賛成派、反対派ともに「そもそも論」ともいうべき抽象的な議論が多く、論点が煮つまらないのが実態である。反対派は、「公社化し、生田総裁のもと改革が進んでいる。公社化してまだ2年しか経っていないのに、その成果も見ずになぜ民営化するのか」、「郵政は、日本の文化である。なくしてはならない」など主張し、これに対し、賛成派も「小泉総理が『郵政民営化』を公約として総裁・総理になったのだから、我々も賛成すべき」、「これでまとまらなければ、総理は解散する。そうなると自民党は分裂、大混乱になる」と、抽象的な賛成論であり、政策的に「民営化」の必要性を説得的に説明していない。

4. このような状況の中、20日(木)には、私から以下のような趣旨の内容を提案した。

①なかなか論点が定まらないが、反対派の方々の重視しているポイントは、
(1)政府案で全国津々浦々の郵便局が存続できるかどうか、経営が成り立つのか。(この点、私も淡路島のような過疎地を考えた場合、郵便局の存続は必要だと考えている。)
(2)貯金、保険という金融サービスが、全国津々浦々維持できるか(いわゆる全国一律の「ユニバーサル・サービス」を維持できるか)。そして、この金融サービスが担保されれば、(1)の郵便局の経営にもプラスとなる。

②(1)については、政府案でも、ⅰ)郵便局の設置の義務付け、ⅱ)持株会社に一兆円の基金を設け、過疎地の郵便局が経営困難となった場合に支援を行う、との手当てをされている。

③したがって、最大の問題は、(2)の金融サービスについて全国一律の「ユニバーサル・サービス」を維持できるかどうかである。すなわち、日本全国どこにいても、貯金をしたり保険に入ったりできるかどうかである。反対派は、政府案では、「貯金会社、保険会社の完全民営化」(持株会社は100%株式を売却し政府の関与が一切なくなるし、郵便会社、窓口ネットワーク会社との一体性がなくなる)により、利益の出ない郵便局は契約を打ち切られ、地域では金融サービスが受けられなくなるのではないか、と心配している。

④では、どうすれば金融の「ユニバーサル・サービス」を維持(担保)できるか。私から2つの案を提案し、それを基に政府との交渉を一任すればどうか、と発言した。
(1)第1案は前日4月19日(水)夜中の2~3時頃、賛成・反対の双方から提案がなされかけた案でもあるが、持株会社が貯金会社、保険会社の株式を一定度保有し続け、郵便事業を合わせた3事業一体の経営を維持するというものである。
(2)第2案は、郵便局が貯金会社、保険会社の代理店(窓口)となる契約を10~15年とし、その後も3年毎に行うこととされる見直しの中で、「ユニバーサル・サービス」の状況をチェックし、仮に地方において他に金融サービスが提供されない状態であれば、その契約の更新を義務づける、というものである。

5. 私の立場は、以前にもこの「主張」欄で書いたように、全国津々浦々の郵便局は維持する(日本全国どこへでもハガキは正確に届くし、世界に冠たる仕組みだと思う。もちろん効率化は必要で、例えば、大都市部での郵便局の統廃合はあり得る)一方、郵便局に集まる貯金、保険の350兆円もの資金の使い途は市場(マーケット)に委ねるべきであるとの考えである。郵便局が悪いわけでなく、特殊法人等に資金を流してきた国が悪いのである。

6. いずれにしても、賛成・反対入り乱れる中ではあるが、早急に方向性を出していかなければならない。中国デモ問題、各国とのFTA議論、年金改革はじめ内外に課題が山積みの中、100人を超える官僚がこの郵政民営化室に出向し作業にあたっている。早急に結論を出し、他の課題についても総力で取り組んでいかなければならない。