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1泊2日の韓国出張に思う
1.9月2日(日)は、今年3回目の韓国出張である。わずか1泊2日の短い出張であるが、森喜朗・元総理のお伴をして日韓議員連盟合同総会への出席である。

2.未来志向の韓国の国会議員仲間とも意見交換を重ねた。また、いつものように、日本研究の第一人者である朴喆熙・ソウル大学国際大学院教授や陳昌洙・世相研究所日本センター所長といった盟友たちとも意見交換を行った。

3.韓国政界は、今年の12月19日に大統領選挙を控え、活発に動いている。野党・ハンナラ党は既に、李明博(イー・ミョンパク)元ソウル市長を大統領候補に選んで選挙体制を整えつつある。今回、その側近の国会議員たちにもたくさん会った。一方、これまでノ・ムヒョン大統領を支えてきた与党ウリ党は分裂し政界再編につながると思われたが、やがてまた結集し、結局「民主新党」という名前(看板)だけ変えた政党となった。支持率が20%前後と低迷するノ・ムヒョン大統領と距離を置き、ノ・ムヒョン色を消したいという意思の現れであろうが、果たして有権者はどう判断するか?(ちなみに「民主新党」は10月に予備選を実施し、大統領候補を選び12月の本選に向けて盛り上げたい、としている。)

4.北朝鮮の動向についても、意見交換した。米朝間の議論が進展しており、北朝鮮の核無力化に向けたプロセス(工程)が進むかどうか焦点であるが、日本にとっては拉致問題も忘れられてはならない問題である。8月に予定されていた南北首脳会議は10月に延期された。北朝鮮の洪水が直接の原因であるが、韓国・ノ・ムヒョン大統領にとっても12月の大統領選挙に影響力を発揮するためには、その直前の10月の南北首脳会談開催は、まさに「渡りに船」である。果たして、どんな効果をもたらすか、ちなみに、5年前の南北首脳会談と違って韓国国民は冷めて見ているようである。

5.さて、日韓関係であるが、両国の国会議員間では、中断している日韓FTAの交渉を再開させよう、など様々な提言を出しているが、結局は両首脳の判断なのである。ノ・ムヒョン大統領は来年2月には代わることが決まっているし、韓国から見れば、安倍政権は大丈夫なのか、との思いを抱いているに違いない。そんなお互いの政治状況の中で、日韓関係が急速に進展する可能性はあるのだろうか。

6.唯一の可能性は、両首脳の思いである。ノ・ムヒョン大統領にとってこの5年間、米国とは関係改善し(FTAまで合意した)、中国とも良好な関係を進展させてきた。日本との関係のみが 止まっているのである。心の中で、「日韓関係を何とかしたい」という思いはあるに違いない。また、安倍総理にとっても、同じように米国と同盟関係にあり、かつ民主国家である韓国は、本来価値観の近い国のはずであり、また、拉致問題の解決にも韓国の協力は大いにプラスになるはずである。

7.幸い、日韓間の人の往来や文化交流はこの数年で劇的に拡大した。従来総数は、この5年間で100万人以上も増え、2006年は約450万人となっている。「韓流」ブームや「羽田―金浦間」のシャトル便などが大きな原因であるが、さらに拡大する大きな可能性(ポテンシャル)があると思う。お互いの政治状況が変化し、落ち着いた時に、セキを切って発展が進展するように、しっかりとパイプをつないでおきたいと思う。「未来志向」をキーワードに、いざ出番が来たときに、即行動できるよう、信頼関係をしっかり築いておきたい。