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2007.9.10
神戸空港・天津雑感
1.2年ぶり2度目の天津である。神戸空港が初の国際便を飛ばす、という記念すべきフライトに搭乗できたことを光栄に思う。神戸空港建設に際しては、当初から反対論が強く、本来道州制でも導入されていれば、関西圏で3つの空港 関空・伊丹・神戸を建設することはなかったのかもしれないが、様々な歴史的、政治的、時代的な背景があったため、現在の姿があるのであり、これをどうこう批判しても生まれるものは何もない。むしろこの3空港をいかに効率的に、安全に、経済効果を生むように運用するか、未来志向で建設的な議論が大切である。特に神戸空港については、反対だった方々にも理解してもらえるよう、具体的な成果を出していかなければならない。

2.「神戸空港が国際便を飛ばすと、2兆円もの借金を抱える関西空港の収支に悪影響を与える」といった意見がある。この意見に対しては、上記の視点に立ち「3空港を一つの会社にし、一体的に運用する」ことを提唱したい。つまり、仮に神戸空港が国際線を飛ばし、それにより収入をあげることがあれば、関空の収支にもプラスとなるというようにすれば、3空港で最も効率的な役割分担や路線設定ができるのである。すなわち、国際線では、神戸と関空で役割分担できるし、国内線では、羽田の発着枠を3空港で確保しつつ、早朝・夜間に制約のある伊丹をカバーしながら、神戸・関空で消費者やビジネスマンのニーズ(要望)に的確に応じる形での路線設定が可能となる。さらに言えば、来年にも予定されている成田国際空港の上場に続いて、近い将来に関空を含めた3空港の「関西三空港会社」の上場が実現できれば、借金の返済も大きく進む。そんなことを考えながら、神戸空港から全日空の日中友好35周年記念機体「パンダ・ジェット」に乗って、天津に向かって飛び立った。

3.さて、天津である。2年前と比べて、高層のアパート・マンションやオフィスビルは増えた。今回訪問団が泊まった日航ホテルもこの春にオープンしたばかりである。しかし、見慣れた北京の街中と比べると、やはり、天津はいまだ発展途上である。まだ自転車が数多く通っているし、洗練されたファッションの若者も少ない。天津は、北京、上海、重慶と並ぶ4つの直轄都市の中では、最も発展が遅れたため、北京政府は、天津開発に最近とみに力を入れているのである。その象徴が、天津市長に就任した、戴相竜・元中国人民銀行総裁である。中央銀行の総裁経験者が市長に就いての経済振興であるから、力の入れようがよくわかる。天津は温家宝首相の出身地でもあり、かつ、課題となっている、東北部開発・環渤海湾開発の拠点として、その重要性が増していることも背景にある。

4.その中で、天津港をはじめとするインフラの開発には目を見張る。水深19メートルの天津港には、ガントリー・クレーンが立ち並ぶ。既にコンテナ取り扱い高は、神戸港の3倍近くになっており、北京周辺の工場や東北部の生産物の輸出港として、また鉄鉱石などの輸入港として発展している。特に、距離的に近い韓国との取引も活発なようである。来年、山東省青島に日本領事館を開催すべく計画しているが、「(韓国企業の進出の著しい)青島」、「天津」、「(日系企業のソフトウェア開発拠点である)大連」の3角形地帯の発展・動向からは目を離せない。日本企業にとっては大事な経済拠点である。

5.来年の北京オリンピックでは天津でサッカー競技が行われるとのことであり、北京−天津間(約130km)を結ぶ新幹線が中国国内で初めて運行される予定である。日中間で最初の姉妹都市となった、神戸・天津の交流も来年は35周年を迎える。天津には、トヨタの工場があり、天津−中部国際空港間には定期便が飛んでいるくらい、天津と愛知県との関係が深くなっているが、是非、この機会に神戸と天津間の経済関係もさらに発展させたいものである。経済・社会の発展は、外部(自分とは違うもの)との交流こそがその源泉であり、できる限りオープンに交流することが大事である。日本の国全体も内向きになりすぎないよう気をつけなければならないが、神戸もその本来の持ち味である「開放性」や(在日の中国人・韓国・インド人が多いといった)「多様性」を今後にいかんなく発揮してもらいたいと思う。そのことが必ず神戸の発展につながるし、私の選挙区である、隣接する明石・淡路島にも好影響を及ぼすはずである。こんなことを考えたたった一日の短い天津訪問であった。


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