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2005.4.6
日本のみなとの未来を考える〜横浜港を視察〜
1. 私の政治の基本は「現場」である。課題となっているテーマの現場を自分の目で見て、関係者の声、意見を自分の耳で聞き、政策の方向性を自分の頭で考えることを原則としている。
この4月4日には「日本のみなとを考える若手議員の会」で横浜港の現状を視察した。

2. 私が小学生の頃、「神戸港は世界一の港」と教えられて育った。父が港湾通商関係の仕事に従事していたこともあり、よく神戸港にタンカーを見に行ったものだし、自分の身近に世界一のものがあることに大変な誇りを覚えたものである。
ちなみに、1980年(私はこの時高校3年生)の世界の港のコンテナ取扱量の順位は、@ニューヨーク、Aロッテルダム、B香港で、は4位、そして、K横浜、O釜山、Q東京の順であった。これが、2003年には、@香港、Aシンガポール、B上海、C深、D釜山、E高雄と上位6位までをアジアの港が占め、なんと神戸港は30位にも入っていない(2002年は29位)。ちなみにP東京、(28)横浜となっており、P東京と(28)横浜合わせると9位になる。

3. 何れも情けない日本の港の衰退ぶりである。理由はいろいろ考えられるが、まず@香港、B上海、C深と中国勢が上位に入っているのは、まさしく1)中国は世界の工場としてモノづくりの拠点化が進み世界に輸出していること、2)また中国国内市場の急成長を反映して、輸入が急増していること、などによる。日本としても、今一度国内のモノづくりを見直し活性化することが必要であるし、国内消費を刺激することにより景気回復を行う、いわゆる「内需主導型」の経済成長も必要である。

4. また、Aシンガポール、D釜山は、いずれも「ハブ港」として中継貿易で伸びているのである。これこそ本来神戸港の得意とするところであったが、10年前の大震災をきっかけとして顧客を失っていったのである。しかし、理由は、地震だけではない。日本の港のコストの高さ、通関システムの煩雑さや時間のかかることなど、そもそもの競争力が落ちているのである。

5. この点、通関をはじめ入管、検疫、輸出入などの手続きをすべて電子化し、一回の入力で済ませることを可能とする、いわゆる「FAL条約」に今通常国会において批准することとしているし、東京港と横浜港や、神戸港と大阪港を「スーパー中継港湾」に指定したことにより、港の利便性の向上を図っている。

6. 今回視察した横浜港と東京港について、具体的には以下のような対応をしている。
 @まず大黒ふ頭が、手狭となっていることから、本牧ふ頭のうち、陳腐化した従来のふ頭を再整備し、次世代高規格コンテナーターミナルとして運営すること。すなわち、一部埋め立て、連続岸壁約1400m・背後約50haの国内最大規模のターミナルとすることとしている。
 Aまた、東京港は、大消費地を後背地に抱えているため、輸入コンテナーが多く、輸出はやや少ないこと、逆に、横浜港は京浜工業地帯を抱えていることから、輸出が多く、輸入が少ないことから、この2港で連携すれば効率的な運用が可能となる。現に東京港から横浜港に「空の」コンテナが年に30万個も移動しているし、入港料の共通化、バースの共同運営なども検討している。
 B今回、世界最大級の船会社であるマースク・シーランド社を訪問し意見交換を行った。同社では、毎週約1000個のコンテナを扱っており、同社によれば横浜港はガントリークレーンなどの施設では釜山など他のアジアの港に劣るが、どういう順でヤードに保管し、どういう順に船に積むかなどのノウハウで勝負しているという。まさに、日本人の緻密さで勝負し、荷役の時間を他港に比べて大幅に短縮している。こういったノウハウの蓄積・活用で日本の港のさらなる発展を期待したい。

7. 以上、大変勉強になった。神戸港も大阪港と一体として「スーパー中枢港湾」の指定を受けている。ハードのみならずノウハウ(ソフト)であらためて世界の上位を目指せるよう応援したい。

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