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小沢氏の議論の問題点
1.それにしても、アフガニスタン・インド洋におけるテロ防止策を巡る民主党・小沢代表の考えには驚きである。一言で言えば「国連決議があれば、自衛隊は海外で治安維持のための武力行使可能」との考えのようである。2点指摘をしたい。
第一に、憲法は自衛隊の海外での武力行使を禁じているのであり、小沢氏の考えは明らかに憲法違反である。憲法の制約があるからこそ、与党の新法では自衛隊の活動は後方支援としての給油活動に限定しているのである。世界のアヘン生産の93%を占め、テロリストの温床となっているアフガニスタンから、テロリストや武器が、洋上から世界に拡散することを、国際社会が一致して防止しているのであり、日本としても一定の責任を果たさなければならない。そうした状況の中で、自衛隊の活動を給油活動に限定しているのである。日本の海上自衛隊の洋上給油の技術の高さが国際的に非常に高く評価されていることも付言したい。

2.ちなみに、民主党内には、アフガニスタン国内で治安維持活動を行うISAF(国際治安支援部隊)に参加し、武力行使を伴わない民生分野(医療等?)に限定して支援を行うべきだ、との意見もあるようであるが、これまでも日本は武装解除などの支援など、できることは既にすべて行っている上に、仮にISAFに参加する形で、戦闘行為が行われている地域で自衛隊が活動することになれば、大きな危険が伴うし、武力行使につながりかねない。このような問題点も是非指摘をしておきたい。

3.第二に、「国連絶対主義」の考え方の危険性である。「国連中心主義」はもっともであり、理想論ではある。しかし、現実には、5大国が拒否権を持ち、国連は各国の国益のぶつかり合う場であることを忘れてはならない。日本は米国とは考えを同じくする場面が多いが、中国やロシアとは利害がぶつかる(異なる)場面も多い。この5大国が拒否権を持つ国連に、我が国の行動のいわば “決定権”を持たせることは、必ずしも国益に合致するとは限らない。中国やロシアなどが拒否権を発動した場合でも、日本国として自国の国益も考え、行動しなければならない時があるはずである。すべてを国連に委ねるのは適切ではない。主権国としてあり得ない。極端に言えば、自国の政府(日本政府)の決定より、国連の決定を優先する、即ち、結果として、日本政府より中国政府やロシア政府の判断に従うということになりかねないのである。

4.国際社会が協調して行動を行おうとする時に、国連で決議をし一致して行動するのが望ましいのは当然である。しかし、拒否権を有している国がある以上、国連の決定が必ず日本の国益と合致するとは限らないこともまた事実である。このこともよく考えなければならない。「国連中心主義」の幻想に惑わされてはならない。