ニッシーブログ
2008.1.3
ロシア出張、プーチン大統領と面談
1.昨年末12月20日、森喜朗元首相と急遽ロシア出張となった。21日のトヨタのサンクトペテルブルグにおける新工場の竣工、そして第一台目の「カムリ」の「ラインオフ」(初生産)を記念する式典に出席し、プーチン大統領との会談を行うためである。
2.成田を出発した飛行機は、シベリア上空を飛ぶ。まさに「氷土」「凍土」である。湖も凍りついている(写真@)。「この下に膨大な資源が眠っているんだな」と森元総理から会話をされながら、約9時間の飛行である。
3.サンクトぺテルブルグは、モスクワとは全く違う街並である。古き良きヨーロッパの風情を残しており、運河が張り巡らされているため、「北のベニス」とも呼ばれる()。有名なエルミタージュ美術館も外から眺めるだけで、観て回る時間的余裕は全くないが、ライトアップされた外観は美しい()。
4.この時期のサンクトペテルブルグは、夕方5時にはもう真っ暗で、朝も10時くらいまで暗い。このことをナヴィウーリナ経済発展貿易大臣に話すと「そうよ、この季節は気が滅入るのよ」ときれいな英語で話してくれた()。ナヴィウーリナ大臣は私よりまだ一才年下の若いエコノミスト出身の大臣である。プーチン大統領の到着を待つ間、経済政策についても話したが非常にリベラルな印象を受けた。早く同じ立場で会談を持てるようになりたいものである(笑)。
5.森元総理は大変よく勉強される。機内でもずっと資料に目を通しておられたし、二人で食事をする時にも、石油や原子力の話など幅広い分野について質問をされた。21日の朝もプーチン大統領との会談を控え、7時から朝食を兼ねた勉強会である()。ほとんど眠っていないにもかかわらず、ご自身の意見も明確に述べられる。
6.いよいよ朝9時すぎ、トヨタの新工場でのカムリの「ラインオフ式」である()。壇上には、森元総理、トヨタの奥田碩相談役を中心に、(左から)渡辺捷昭トヨタ社長、グレフ前経済発展貿易大臣、ナヴィウーリナ経済発展貿易大臣、マトヴィエンコ・サンクトペテルブルグ州知事が並ぶ。このサンクトペテルブルグには、日産、スズキも工場建設を決め、ロシア政府関係者は口をそろえて「サンクトペテルブルグはロシアの『デトロイト』(米国の自動車産業の集積地)になる」と言う。確かにあっという間に40〜50万台の生産拠点になるだろう。人材不足が懸念されるくらいであるが、ロシアの経済成長が続くことへの期待でもある。「人口10億人のインドが世界中から注目されているが、自動車販売は年間100万台程度である。それに比べロシアは既に200万台に達している。」このことは、プーチン大統領はじめ多くのロシア政府首脳が指摘していた()。インドへの対抗心とともに、自信の現れである。
私も、トヨタの奥田碩相談役(前会長)から説明を受ける()。一緒にラインを見て回ったイワノフ第一副首相(元国防大臣(左端))やグレフ前経済発展貿易大臣()も、プーチン大統領と同じことを話していた。
7.プーチン大統領と森元総理との会談は非常に有意義なものであった()。プーチン大統領には、領土問題含め、日ロ間の懸案を早く解決したい、との意欲が強く感じられた。これは何と言っても、この二人の首脳の極めて親密な信頼関係がベースにあるからである。何度もハグする(抱き合う)し、お互いをファーストネームで呼び合う。プーチン大統領をファーストネームで呼ぶ首脳が世界に他にいるのだろうか。このお二人の関係を大切にしながら、是非、日ロ関係が大きく進展することを期待したい。そして私もプーチン大統領と話した数少ない日本の国会議員として、しっかりと責任を果たしたい()。
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