ニッシーブログ
2008.1.1
新年ご挨拶
新年あけましておめでとうございます。皆様、ご家族おそろいで健やかに新しい年をお迎えになられたことと思います。
旧年中は、大変お世話になりありがとうございました。皆様の暖かいご支援に心から感謝申し上げます。昨年11月には、衆議院本会議で、最重要法案である「テロ対策新法」について、自民党を代表して賛成討論を行う機会を頂きましたし、大事な場面で仕事を任されることもだんだん増えてきました。先輩・仲間の政治家から、そして何より有権者の皆様から信頼される政治家となるよう、本年も全力で頑張りたいと思います。どうぞ引き続きのご指導ご支援をよろしくお願い申し上げます。

1.本年1月11日頃、「テロ対策新法」衆議院で再可決へ
さて、ありがたいことに、既に約300もの新年会・懇親会などにお声がけを頂いている。できる限り出席させて頂き、それぞれの分野・地域での取組みや現状・課題などについて、じっくりお伺いしたいものである。しかしながら、今も国会開会中であり、おそらく1月7日(月)から実質的に審議が再開され、10日(木)、11日(金)あたりが、「テロ対策新法」の衆議院での再可決(いわゆる「3分の2」条項の発動でなんと57年ぶり)の見込みで、この頃に与野党折衝の緊張が最も昴まりそうである。ただでさえ、たくさんの新年会が重なり短い時間しか滞留できないのに、国会の仕事と重なった際には、公務優先をご理解頂ければ幸いである。(なお、日本国憲法は、現在のような「衆参ねじれ現象」の中で何も決まらない状況を想定し、衆議院の優越、即ちこの「3分の2条理」を規定しているのであって、首相の問責決議や内閣不信任案の提出は筋違いだと思う。)

2.孤立化する日本
(1)さて、この「テロとの闘い」であるが、先進首脳8ケ国(いわゆる「G8」)で参加をしていないのは日本とロシアだけである。ロシアはかつて旧ソ連時代にアフガンを侵攻したこともあり。微妙な立場で参加していない。その意味では、先進国で実質的に日本だけが協力していないのである(もちろん、武装解除した兵士の職業訓練や、小学校再建など民生部門の協力は行ってきている)。このような状況で、いざ東アジアで何か紛争が起こったときに、国際社会は、日本に対し、国際的な平和構築に協力する仲間とみなして支援・協力を行ってくれるだろうか?

(2)また、経済的にも、孤立化の兆しがでてきている。大変心配である。昨年末の東京証券市場の時価総額(すべての上場企業の株価×株数の総計)は475兆円と一昨年末より11.5%減。また、世界に占めるシエアも9.1%→7.5%と縮小。逆に中国はこの1年で倍増し、世界シェア11%となっている。年金記録問題や防衛省不祥事など、国民の意識や政治が内向きになりがちになっているのである。世界中の有能な人材や若者、そして、世界中で余っている資金(特に、オイルマネー)、グローバルな企業や芸術家、さらには観光客などを日本に惹きつけるため、魅力があり、開放的な日本の経済・社会を築く努力をしなければならない。資源もエネルギーもない国であるが、ここまで発展してきたのは、日本の知恵と人材の厚さ(即ち、教育)なのである。このことをもう一度よく認識し、風光明媚な自然環境の維持・保全も含めて、日本の魅力・強みを再興する活動を立ち上げていくべきと考えている。そして将来にわたって安定的な成長を続け、その果実をしっかりと医療・福祉・年金といった社会保障に均てんしていくことが大事である。

3.山積する内政の課題
そのためにも、内政の(長年の)様々な懸案・課題を、政治主導で、早急に解決することが重要である。(「薬害肝炎救済」は、(紆余曲折はあったが)福田総理の政治決断により、議員立法で原告団が求めていた一律救済が実現の運びになった。)

(1)徹底的な霞が関改革
@社会保険庁のずさんな年金記録管理や防衛庁の不祥事は、あってはならない、信じられない事件である。徹底的に原因を解明し、法律違反があれば、厳粛に処分、刑事告発も行うべきである。その上で、再発防止に向けた徹底的対策を講じなければならない。「公」に仕えるものとしての自覚を今一度喚起しなければならない。

Aそれと同時に、独立行政法人(独法)改革も進めなければならない。昨年末には何とか16法人の統合・廃止を決定し、(若干ではあるが)本年度予算の削減にもつなげることができた。もちろん、今回の薬害肝炎救済の基金を置く予定の「医薬品審査機構」や、中小企業の海外展開などを支援する「ジェトロ」のように、「官」の仕事を補完するという、重要な役割を担う独法もあるが、既に役割を終えたもの、民間でできるものなどがあるのも事実である。官僚の天下り先の確保のためだけの存在など断じて許さず、引き続きの改革を進めていきたい。

(2)やっぱりあるぞ、「埋蔵金」
@与謝野馨前官房長官がまとめた「財政改革研究会」の報告書の中で、政府には「埋蔵金はない」と記載され、議論を喚起した。与謝野さんの指摘は、民主党の主張に対するものであり、すなわち、民主党の「政権交代すれば20〜30兆円捻出できる」、「国と地方の役割分担を変えれば何兆円か節約できる」などという公約は、根拠もなく全くいい加減なものと言わざるを得ない。正にこの意味では「埋蔵金」などないのである。

Aしかしながら、特別会計460兆円(会計間の重複計上を除いても225兆円)の中身は、国会でも十分に審議されず、よく分からない部分も多い。各特別会計毎に、徹底的に剰余金や積立金の状況等を精査・検証することが必要である。現に、山本一太さんとともに、我々若手改革派がこのことを強く主張した結果、昨年末の予算編成ギリギリになって「財政投融資特別会計」から約10兆円が拠出されることとなった。この意味では「埋蔵金はあった」のである。もちろん、「一回限りではないか」との意見もあるが、場合によっては一部を積みたてて運用することも検討すべきではないか。諸外国では、政府が資金を運用し高収益を上げているのである。シンガポールのGICが有名であるが、ノルウェーの政府系ファンドも石油マネーを運用し年間17%もの収益を上げて話題になった。また、最近では、アブダビ投資庁が(サブプライムローン問題で財務基盤が弱まった)米国・シティ・グループに4.9%、中国政府の投資会社(CIC)が同じくモルガン・スタンレー証券に9.9%の出資を決めたことも衝撃を与えた(ところで、余談だが、日本の金融機関は一体何をしているのか!なぜ米国の金融機関から頼られ助けを求められないのか!なぜ出資に手を挙げないのか!)。このような世界中の政府系ファンドは3兆ドル(300兆円以上)にも達し、各国とも毎年15〜20%の運用益をあげている。もちろんすべての資産をリスクの高い投資に回すのは適切ではないが、余裕資金(特別会計の積立金や余剰金)の一部を、成長率の高い新興国や安定しているグローバルな米国企業に投資することを考えてもいいのではないか。いずれにしても、引き続き政府のムダを徹底的に削減し、消費税増額の議論の前に、その活用も含めてありとあらゆる知恵を出すことが大切である。

(3)民主党は年金を「政争の具」に
@「年金制度改革」についての民主党の対応・主張もひどいと思う。民主党は、基礎年金の「全額税負担化」を主張している。そして「消費税を今の税率のまま据え置き、全額それに充てればまかなえる」としている。しかしながら、少なくとも以下の問題点があり、そのことに対し(少なくとも私が知る限り)民主党は明確な回答を出していない。(@)第一に、今の消費税5%(税収約13.3兆円)のうち、5.8兆円は地方自治体の財源に充てられ、また、残りの国分7.5兆円も基礎年金だけでなく、医療、介護にも使われている。これらの分まですべて(基礎)年金に回せば、地方の財源(取り分)や医療・介護の財源をどうやって穴埋めするのか。(A)第二に、仮に、13.3兆円を全額基礎年金に充てるとしても、現実には年金に22兆円の給付(支出)を行っており、13.3兆円では全員の年金はまかなえず、結果的に半分くらいの人しか基礎年金をもらえない、ということになる。民主党は、「所得600万円以上の人は漸次減額する」と苦しい言い逃れをしているが、まさに、その場しのぎの対応である。

Aしかしながら、(万が一に)政権が変わるたびに年金制度が変わるのは、現実的ではないし、無用な混乱を招く。そこで、われわれ与党としては、民主党に「(年金を含めた)社会保障制度」についての与野党協議を申し入れているのであるが、民主党は、年金を「政争の具」として、全く応じようとしないのである。ちなみに、与党案は、保険料半分(自助)・税負担(=国庫負担)半分(共助)であるが、すべての人が加入するようになれば、民主党の「全額税負担方式」と大差なくなる(すなわち、半分を保険料で払うか、税金で払うかの違いだけである)。したがって、(言わば税金で半分補てんされるのであるから「年金には絶対加入した方が得」なのであり、このことを国民に広く啓蒙することにより)今後国民年金の加入率を上げることができれば、与野党案の差は小さくなるのである。この意味で、将来の「基礎年金の全額税負担化」も視野に、衆参それぞれに責任を持つ与野党が一つのテーブルに着き「年金制度の将来像」について、議論すべき時に来ているのだと思う。

4.以上のことを踏まえつつ、本年の抱負として次のことを申し上げたいと思う。
 (1)引き続き、日本が繁栄するように、魅力ある国づくりを進め、世界中の「人、モノ、カネ」が集まり、安定的な成長を維持できるよう、あらゆる環境を整備していく。
 (2)官庁のムダを徹底的に削減するとともに、規律ある政府となるよう、大胆な改革を進める。
 (3)その意味で、経済分野では効率的な「小さな政府」を目指す(バラマキは許さない)が、医療・福祉・年金に加えて、教育・保育も含めた社会保障分野については、すべての国民に安心してもらえる制度となるよう、国が責任を持ち、いわば「安心できる政府」を築き上げる。
 (4)知恵と人材の国として、「公教育」の充実を図る。
 (5)地域の経済・コミュニテイを支えてきた農業、水産業、商店街などの再生を図る。そのための方策についてみんなで知恵を絞る。特に、地元のすべてを結集した、大型プロジェクトになるであろう、明石駅前・洲本市中心部の再生・再開発を推進する。

5.いずれにしても、この国の繁栄のため、地元の発展のため、初心忘れず全力で頑張るつもりである。焦らず、背伸びせず、一歩一歩前進しながら、政治家としての力量をつけていきたいと思う。年末に地元を回っていると、「自民党はもうあかん」「弱者への配慮を忘れるな」といったお叱りもたくさん頂くが、それでも「西村さんには期待している」「だからこそ、民主党と同じようなバラマキはやめてくれ」「改革を進めてほしい」「古い自民党に戻らないで」といった声をたくさん頂いた。こうした地元の皆さんの一言一言を胸に、将来の政界再編をにらみながら、若手改革派を結集し、来年もしっかりと責任を果たしたい。

(※なお、政治家が年賀状を出すことは法律で禁じられておりますので、ご理解賜れれば幸いです。)

一覧
HOME
(C)yasutoshi.jp