ニッシーブログ
2007.10.10
フランス(アフリカ出張(その⑬)8月24日)
「変わるフランス」
1.8月24日、乗り換えのためのわずか数時間のパリ滞在であったが、約20年ぶりに街中を歩くといろんな発見があった。第一に、貸し出し自転車が大流行であること。1日の利用登録料に1ユーロ(約160円)支払うと、30分以内で乗り継げば、追加料金なしで当日は何回でも乗り降りできる。街中にステーション(拠点)がたくさんあるから、好きな所から好きな所まで乗れる。これもヨーロッパの環境意識の高まりの反映であろう。EUの政策のトップ・プライオリティ(最優先)は“環境政策”である。日本(安倍総理)の「2つの50」(2050年に温暖化ガス50%削減)に対して、EUは「5つの20」(2020年に温暖化ガス20%削減、新エネルギー20%導入、省エネ20%実現)の主張である。アメリカをどう巻き込むかが最大のポイントで、日本案ならアメリカも乗れるが、「実効性」即ち、本当に実現できるかが議論となる。日本の『2つの50』は良い目標だが、実効性がないと言うわけである。来年7月の北海道洞爺湖サミットに向けて議論を集約していきたい。
2.第二は、韓国人、中国人の観光客が急増していることである。20年前に日本人の若い女性で一杯(というより“すし詰め”)で、長い行列だったヴィトンの店なども落ち着いているが、お客は圧倒的に中国人が多い。有名な百貨店プランタンの前には韓国人の団体バスが止まっている。もはや日本人は「エコノミック・アニマル」ではない。「大人の経済人」になったのであろう。
第三に、パリにも未来都市のような高層ビルが登場していること。先端技術を扱う大学などを集積させているのである。例えば、原子力の世界では、唯一日本の企業と張り合っている仏の企業もある。アレバ社である。さすがに原子力の技術ではフランスは一日の長がある。しかし、その他の先端分野、例えば、IT分野などではあまり仏企業は聞かない。その意味で、ようやく仏政府も先端技術や国際競争力に力を入れ始めたのである。国際競争力強化を公約に掲げたサルコジ大統領が勝利したのもその反映かもしれない。ちなみに、そのサルコジ大統領については、大変親日的なシラク大統領に比べ、対日政策が心配されていたが、このような国際競争力の観点からか、日本との連携を重視しているようである。安倍さんと同い年でウマが合いそうだっただけに安倍さんの退陣は残念であるが、福田総理-サルコジ大統領のもとでのこれからの日仏関係の発展を期待したい。
3.最後に、やはり、時々はヨーロッパの主要都市を回ったり、EUの関係者と意見交換することが大事だと、あらためて痛感した次第である。私は留学も米国であったし、友人も米国の方がはるかに多いが、米国一極の時代は終わりつつあるのであり、第2(第3?)の極のEUの動向も今後はしっかり見ていかなければならない。そう言えば、あの竹中平蔵さんも「英国経済がモノづくりを捨て、金融で成り立っていることも是非見てほしい」と言っておられた。これまで、アジア、中東を中心に、アフリカ・南米での仕事をこなしてきたが、今後はEU関連の仕事も進んで受けたいと思う。
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