ニッシーブログ
2005.3.11
中学校を改革する
1.東京都杉並区の和田中学校を訪問した。この中学校の校長先生は元リクルートの藤原和博さんであり、民間企業人の発想で極めてユニークな取組みを行っている。

2.まず、何といっても総合学習の「よのなか」科である。例えば、「ハンバーガーショップは町のどこに作ればよいか」を議論するのである。判断するためには街の地図を読めなければならないし、昼間人口、交通量の分析も必要である。正解が決まっているわけではないが、この議論のプロセスが大事なのである。生徒たちは興味深く熱心に議論している。「荒れた学校」のイメージは全くない。

3.また、「Role Play」も重視し、例えば、「自殺したい人」と「それを説得する」人の(一種の)ディベートも行う。「Role Play」によってその立場の人の気持ちが理解できるようになる、との考えである。昔は、誰もが小さい時、「ママごと」や「○○ごっこ」をしたものである。こうしたことを通じて子供ながらにいろいろな人の立場を理解できたのであろう。藤原校長から面白い話も聞いた。「昔、ママごとで人気があったのはお母さんの役でしたが、今は『ペット』役です。」現代の家族像がよくわかる。

4.さらに、土曜と平日の放課後の6コマ、月で合計24コマで、英語の授業を行っている。上智大と提携してのネット授業で、保護者に月6000円の負担は求めているが、1コマ当たりの金額は2百数十円で、通常の英会話学校の1/10以下である。

5.このように自由度を持って改革を行っていけるのは、第一に校長の権限をフルに活用しているからである。藤原校長はさらに、人事を改革しようとし、他校のいい先生のスカウトなどを行っている。(ただ、やがてその事前の面接には現校長の許可が必要となり、どうしても上司の顔を見るために、他校からの思い切った人材の採用はできにくくなったとのことである。)また、学力を落とさないために、授業のコマ数を確保する必要から、夏休みに入るのを3日遅らせたり、新学期を2日早く始めたりもしている。これらの改革は、校長に権限を持たせているからであり、教育改革の重要な方向を示唆している。もちろん、校長が勝手に決めているのではなく、保護者や地域の方々約100人を学校応援のボランティアとして組織し、学校運営をスムーズなものにしている。

6.以上、学校も変わろうと思えば変われるのである。教育委員会主導の画一的な教育ではなく、現場に権限を大胆に付与し、地域の住民が協力すれば相当なことができる。ゆとり教育の是非を巡って教育の現場は揺れているが、しっかりと改革してまいりたい。
画像はこちら


一覧
HOME
(C)yasutoshi.jp