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借金増大が財布のヒモを締める、景気を悪化させる。
1.ギリシャの財政破綻が世界的に大問題になっているが、日本の財政赤字はギリシャの比ではなく、先進国最悪なのである。
公債発行残高の対GDP比を見てみると、先進国の多くは70~80%台にとどまり(表①)、ギリシャですら110%程度である。しかし、日本は200%にも達しようという異常な状態である。何故、日本の財政状況が問題とされないのか。一つには、国民の貯蓄が約1500兆円もあり、債務を除いても約1000兆円はあり、国内で国債を引き受ける余裕があるから、とされている。しかし、国民の貯蓄率が急速に低下する(表②)中で、今後も国債を国内で消化するだけの余力がそれほど残されているわけではない。この2~3年しか対応できない可能性が出てきているのである。
2.民主党は、特別会計も含めて総額約200兆円の予算の無駄を削り、予算の組み換えを行えば、約17兆円の財源を捻出することができる、増税や国債発行を増大させることなく、子ども手当や高速道路無料化などマニュフェストの内容を実施できると主張して、政権に就いた。しかし、現実には、十分な財源を出せず、22年度の国債発行額は44兆円を超え、仮に22年度の制度をそのまま継続する(したがって、子ども手当は1.3万円/月のまま)という前提での財務省の試算でも、23年度51兆円、25年度55兆円の国債発行が必要となるのである(表③)。そして、仮に23年度以降、マニュフェスト通りにすべてやろうとする(例えば、子ども手当は2.6万円/月支給)と、さらに追加で毎年5兆円程度必要となるのである。
3.このように借金増大が現実化し、財政赤字の拡散、そして、破綻のおそれが現実味を帯びてくると、国民は敏感に将来の大増税を予見し、財布のヒモはますます固くなるのである。つまり、将来の財政再建の道筋や財政の持続可能性が確かなものにならないと、消費は増えないのである。
4.財政を持続可能なものとするためには、やはり消費税を含む税制の抜本改革の議論を避けては通れない。医療や福祉を安心できるものとなるよう充実するにも、子育て支援や教育への支援を拡充するためにも、財源がない。先進国の中で、日本の消費税率は圧倒的に低いのである(表④)。もちろん、景気がこのような状態では、消費税の増税をできるわけないし、まだまだ無駄を削減することは必要である。しかし、すべての人が「もう無駄がない」と納得するには、一体いつまでかかるのか?むしろ、高齢者や子育て世代の世帯が、医療や福祉、保育所といった現物給付や、年金、児童手当といった現金給付を、安心して享受できる形での制度設計が必要である。実はメリットが大きいことを十分に理解してもらうことが必要なのである。
もちろん、低所得者層への配慮として、食料品など生活必需品への税率は据え置くなどの措置も併せて検討すべきである。
5.以上、我が国の財政を持続可能なものとするためには、無駄の徹底的削減と、そして、経済成長による全体の富(パイ)拡大とともに、税制の抜本改革を同時に追求していくことが求められているのであり、これにより消費拡大も期待され、相乗効果として経済成長も実現していくのである。
公債発行残高の対GDP比を見てみると、先進国の多くは70~80%台にとどまり(表①)、ギリシャですら110%程度である。しかし、日本は200%にも達しようという異常な状態である。何故、日本の財政状況が問題とされないのか。一つには、国民の貯蓄が約1500兆円もあり、債務を除いても約1000兆円はあり、国内で国債を引き受ける余裕があるから、とされている。しかし、国民の貯蓄率が急速に低下する(表②)中で、今後も国債を国内で消化するだけの余力がそれほど残されているわけではない。この2~3年しか対応できない可能性が出てきているのである。
2.民主党は、特別会計も含めて総額約200兆円の予算の無駄を削り、予算の組み換えを行えば、約17兆円の財源を捻出することができる、増税や国債発行を増大させることなく、子ども手当や高速道路無料化などマニュフェストの内容を実施できると主張して、政権に就いた。しかし、現実には、十分な財源を出せず、22年度の国債発行額は44兆円を超え、仮に22年度の制度をそのまま継続する(したがって、子ども手当は1.3万円/月のまま)という前提での財務省の試算でも、23年度51兆円、25年度55兆円の国債発行が必要となるのである(表③)。そして、仮に23年度以降、マニュフェスト通りにすべてやろうとする(例えば、子ども手当は2.6万円/月支給)と、さらに追加で毎年5兆円程度必要となるのである。
3.このように借金増大が現実化し、財政赤字の拡散、そして、破綻のおそれが現実味を帯びてくると、国民は敏感に将来の大増税を予見し、財布のヒモはますます固くなるのである。つまり、将来の財政再建の道筋や財政の持続可能性が確かなものにならないと、消費は増えないのである。
4.財政を持続可能なものとするためには、やはり消費税を含む税制の抜本改革の議論を避けては通れない。医療や福祉を安心できるものとなるよう充実するにも、子育て支援や教育への支援を拡充するためにも、財源がない。先進国の中で、日本の消費税率は圧倒的に低いのである(表④)。もちろん、景気がこのような状態では、消費税の増税をできるわけないし、まだまだ無駄を削減することは必要である。しかし、すべての人が「もう無駄がない」と納得するには、一体いつまでかかるのか?むしろ、高齢者や子育て世代の世帯が、医療や福祉、保育所といった現物給付や、年金、児童手当といった現金給付を、安心して享受できる形での制度設計が必要である。実はメリットが大きいことを十分に理解してもらうことが必要なのである。
もちろん、低所得者層への配慮として、食料品など生活必需品への税率は据え置くなどの措置も併せて検討すべきである。
5.以上、我が国の財政を持続可能なものとするためには、無駄の徹底的削減と、そして、経済成長による全体の富(パイ)拡大とともに、税制の抜本改革を同時に追求していくことが求められているのであり、これにより消費拡大も期待され、相乗効果として経済成長も実現していくのである。