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2007.10.11
ロシア出張(その@)9月30日〜10月3日
「統一ロシア」党大会に出席

1.総裁選の最中、中川昭一前政調会長から電話をもらった。麻生候補の推薦人の一人であり、ひょっとして「麻生支持」の説得の電話ならどう答えようか、などと迷いながら電話に出たが、話はロシア出張のことであった。「国際局次長として一緒にロシアに行ってくれないか」とのことである。元経済産業大臣・前政調会長の中川昭一さんとは、海洋基本法や政治とカネの問題でもよく御指導頂いた先輩である。将来の総理候補のお一人であるし、即座に「喜んでご一緒させて頂きます」とご返事申し上げた。中川昭一さんには、プーチン政権の与党「統一ロシア」から直接党大会の招待状が届いたようであるが、自民党の国際局にも招待状が届いていたので、代表として中川さんと私が出席することとなったのである。

2.「統一ロシア」の党大会では大サプライズがあった。プーチン大統領が出席し「12月2日の議会選挙で統一ロシアの比例名簿第一位として立候補する。(来年3月に大統領2期務め上げた後は)首相になる選択肢もある」と明言したのである。場内がザワついた。世界中が「プーチンは2期目を終了すると、その後どうするのか」と考えていた矢先である。先般の内閣改選で、無名に近かったズブコフ氏(66才)が新首相となったが、ズブコフ氏が次期大統領選に立候補し、プーチンが首相に就任する。そして4年後、プーチンは再び大統領となる、というシナリオが現実性を帯びてきた。
今でも、第一副首相のイワノフ氏とメドベージェフ氏を競わせどちらかが後継大統領となる、との説も有力であるが、このプーチン発言により少数説となった。

3.日本にとってプーチンが権力の中枢に居続けることはプラスであろう。米国やEUに対しては対抗心の強いプーチン大統領であるが、野心や下心のない日本に対しては基本的に好意的である。また、ロシアは、中国との関係が微妙である。ロ・中間で領土問題はいわゆる「フィフティ・フィフティ」のルールに則り解決を見たが、やはり4000Kmもの国境を接し、ロシアにとってみれば、シベリアを中心に中国に“侵食”されつつある、との警戒心が強い。その中国へのけん制の意味もあり、シベリア開発への協力も含めて、日本に期待を寄せている面がある。何より、日本の技術力は魅力なのである。幸い森元首相とプーチン大統領の個人的信頼関係もある。是非支持率70%でロシア国内を掌握しているプーチン大統領との間で、領土問題解決も含めた日ロの関係発展を期待したい。

4.今回の出張で、ロシア政府関係者や国会議員、そして日系企業の関係者など、精力的に意見交換を重ねたが、最も強く感じたことは、ロシア国民が「安定と強さ」を望んでいることである。国民から非常に評価の低いゴルバチョフ氏が強大な「ソビエト連邦」を壊したことから始まり、国内が大混乱となったエリツィン政権と、混乱と経済低迷が続いたために、ロシア国民は経済発展と安定を強く求めているのである。統一ロシアとの円卓会議でも、私の質問に対してコサチョフ国際問題委員長は「知事の任命制度も民意を反映している。国民は統一と安定を求めている。」と断言した。議席獲得のための最低得票率を5%から7%に引き上げたのも、小党乱立を避け、「安定」のためである。プーチン政権8年の実績に裏打ちされた大きな自信もある。12月2日の選挙では「統一ロシア」が80%近い議席を取るかもしれない。

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